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「お福の会宣言」に込められた思い

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    159 「お福の会宣言」に込められた思い

    日経メディカル 2019年8月30日 色平哲郎

    https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201908/562056.html

    今年も、夏7月、私が勤める佐久総合病院で「農村医学夏季大学講座」
    が開かれた。
    この講座は、夏の信州、山間部の涼しさと静かな環境を利用した
    市民大学的な学びの場。
    地域の保健衛生活動の第一線でぶつかる現実的な苦難や困難に着目し、
    市民的な集いの中で基本的人権と民主的精神をよりどころに学び直そうという試みだ。
    1961年に始まって、今年で59回目を迎えた。

    スタートした当初は、昔ながらの農村生活の「医食住」の問題が主で、
    寄生虫、「農夫症」(肩凝り、腰痛、夜間頻尿、手足の痺れなどを呈する症候群)、
    その対策としての農村生活運動、農民体操などが論じられた。
    その後、「複合汚染」で一般に知られる農薬中毒の深刻な問題がクローズアップされ、
    「主婦農業」「農村と社会保障」「食品添加物と洗剤の危機」といった、
    高度経済成長の中での健康破壊的ひずみが取り上げられる。

    1980年代以降は、高齢者の保健医療、介護、福祉の問題が浮上。
    「寝たきり老人」「呆け老人」のケアのための「中間施設」
    の問題へとシフトしていった。
    そして、今回、「すべての人々に健康を〜認知症とともによりよく生きる。〜」
    と題し、2日間、認知症の人本人にも参加いただき、活発な討論が行われた。

    佐久病院は「農民とともに」を標榜しているが、
    もうすぐ高齢者の5人に1人が認知症となる時代、
    「認知症の当事者とともに」地域を育む必要性と必然性が再認識された。

    様々なセッションの中でも特に印象深かったのが、福祉ジャーナリストで、
    NHK「福祉ネットワーク」のキャスターを務められた町永俊雄氏のご講演。
    町永氏がかかわっておられるグループに「お福の会」という集まりがあり、
    私も伺ったことがある。

    お福の会では、認知症の本人とご家族はもとより、様々な職種の人が集い、
    語り合っている。
    認知症に関する横断的議論の必要性を痛感した人たちが立ち上げた場である。
    その設立理念を表した「お福の会宣言」は、
    認知症の人とともに生きる意味を的確に述べている。
    やや長くなるが、引用しておきたい。


    「お福の会宣言」

    人は人として生まれ、人として死ぬ。
    そしてその過程で誰もが認知症という病に遭遇する可能性をもっている。
    かつて認知症になると「人格が崩壊する」「こころが失われる」
    と恐れられた時代があった。
    だが、今や私たちは知っている。
    認知症になっても自分は自分であり続けることを。
    月が欠けているように見えても月が丸いことに変わりないのと同じである。

    自分が、認知症になっても、家族の一員、社会の一員として、
    友人として権利と義務とを有する国民の一人として生活を続け人生を全うしたい。
    同じように、家族や友人が認知症になっても、ともに人生の旅を歩き続けたい。

    「お福の会」はそういう思いをもつ市民が、
    本人や家族、医療、介護、行政、その他の立場を超えて集う場である。
    認知症になっても、生活の主体者として人生を全うできるように
    私たちは力を尽くしたい。

    https://www.ninchisho-forum.com/eyes/machinaga_063.html


    誰が認知症になってもおかしくない現代。
    認知症を他人ごとではなく、「自分ごと」として受けとめ、
    人生を全うしたいという思いがあふれている。

    では、そのために私たちは地域や認知症の人たちと連携して、
    何を、どう実践していけばいいのか。
    それは、一人ひとりが現場で積み上げていくしかない。
    夏季大学を終え、そんな思いを強くした。

    ==


    吉田寮と自治 壊さないで

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      吉田寮と自治 壊さないで

      年末年始の数日、京都に戻りました。
      医学生時代の数年を過ごした京都大吉田寮を訪ねたところ、
      大学が寮生の退去を通告しているとの報道を知り、がくぜんとしました。

      私は貧乏学生で、吉田寮でお世話になって、やっとのことで卒業できました。
      信州の山村での診療を十数年続け、
      現在は長野県の農村にある病院に勤務しております。

      いったいどうしたことでしょうか。
      京大の担当理事が本当に寮生たちに向かって、
      「君たちと合意形成をするつもりはない」
      「納得しても納得しなくても、取りあえず吉田寮から出て行け」
      と言い放ったのだとするなら、
      「あなたこそ京大の伝統にそぐわない、この場で辞表を出してはいかがか」
      と言い返したくなりました。
      吉田寮とその自治を取り壊さないでほしい。

      長野県佐久市・色平哲郎(内科医・58)

      京都新聞「窓」2019年1月13日
       


      157 外国人医療の先駆者が貫く「人道主義」

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        157 外国人医療の先駆者が貫く「人道主義」

        日経メディカル 2019年6月28日 色平哲郎

        https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201906/561423.html

        医療、健康を支える「水」供給の危機的状況

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          sage body

          156 医療、健康を支える「水」供給の危機的状況

          日経メディカル 2019年5月31日 色平哲郎

          https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201905/561061.html

          「健康で文化的な最低限度の生活」とは何か

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            155 「健康で文化的な最低限度の生活」とは何か

            日経メディカル 2019年4月27日 色平哲郎

            https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201904/560736.html


            総合診療専門医とヒューマニズム

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              154 総合診療専門医とヒューマニズム
              日経メディカル 2019年3月29日 色平哲郎
              https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/blog/irohira/201903/560392.html


              【若者よ「佐久」に学べ−保健医療の原点】

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                【若者よ「佐久」に学べ−保健医療の原点】

                「PHCはプライマリ・(メディカル)・ケアとは異なるものです。
                それは人々の健康の問題を病気の治療の側面だけでなく,
                生活のレベルで捉えた,予防や健康増進,リハビリテーション
                などを含むトータルな保健システムのことです。
                そしてそれは地域の住民参加を前提にしているのです」

                医学書院/週刊医学界新聞 【若者よ「佐久」に学べ−保健医療の原点】
                (第2392号 2000年6月19日)
                http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2000dir/n2392dir/n2392_07.htm
                 


                研修医の固定観念を崩したフィリピンでの経験

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                  謹賀新年、平成31年も宜しくお願い申し上げます、近況、ご笑覧を

                  151 研修医の固定観念を崩したフィリピンでの経験

                  日経メディカル 2018年12月28日 色平哲郎

                  https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201812/559242.html


                  社会保障費が<我が国財政の悪化の最大の要因>?−税収減をもたらした財務省の無反省

                  0

                    Okabyです。

                     

                    昨日は「終末期医療の医療費は無駄なのか?」について書きました。
                    http://civilesociety.jugem.jp/?eid=39420

                    終末期医療の医療費を削れという、財務省の財政再建の発想がいかに倫理的にも実証的にもダメなのかがよくわかる一例ですが、より視野を広げてみるならば。

                    (なお、日本はいくら国債を増やしても財政破綻などしない、増税がすぐできないデフレ期にはむしろ日銀の緩和マネーで国債増発すべきだという主張に私も大賛成ですが、そういう反緊縮・統合政府論を脇に置いて、ここでは国の借金をどうするかという「財政再建論」の認識枠組みの中からでも言えることを述べます。)

                    財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」が昨年11月20日に出した「平成31年度予算の編成等に関する建議」
                    https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia301120/04.pdf
                    であらわになっています。

                    総論で「平成財政の総括」で、財務省・財界なりに財政再建が失敗したことを述べていますが、3ページに、彼らも所得税と法人税を下げ続けてきたことで税収減となっていることを認めています。資料も参考ください。
                    ===================
                    税収については、消費税率の導入・引上げを行ってきたにもかかわらず、平成2年度(1990 年度)と平成30 年度(2018 年度)の税収はほぼ同水準に留まっている。
                    これは、バブル経済の時期に大きく膨張した土地や株式の譲渡益や利子等に係る所得税収が剥落した要因もあるが、
                    景気対策として所得税や法人税の制度減税を重ねてきた要因も大きい。〔資料機檻押檻魁■柑仮函
                    ===================

                    もちろん、その前段には、
                    ===================
                    平成に入ってからの債務残高の累増要因の約7割は、社会保障関係費の増加及び税収の減少によるものであり、更に地方交付税交付金等における一般会計からの補填部分を含めれば、約8割を占める。〔資料機檻押檻瓜仮函
                    我が国の社会保障制度は、国民自らが高齢や疾病等のリスクを分かち合い支え合うとの考え方の下、受益と負担の対応関係が明確な社会保険方式を基本としている。
                    しかし、現実には保険料より公費への依存が増しており、しかも本来税財源により賄われるべき公費の財源について、特例公債を通じて将来世代へ負担が先送られているため、受益と負担の対応関係が断ち切られている。
                    負担の水準の変化をシグナルと捉えて受益の水準をチェックする牽制作用を期待できないまま、給付(受益)の増嵩が続いており、我が国財政の悪化の最大の要因となっている。〔資料機檻押檻音仮函
                    ===================

                    つまり平成30年間で社会保障費が増えてそれが国債の7割を占めており、それが<我が国財政の悪化の最大の要因>だというわけです。

                    しかし、おかしいですよね。<所得税や法人税の制度減税を重ねてきた要因>も認めているならば、じつは税収減こそが<我が国財政の悪化の最大の要因>とも言えないだろうかと。
                    税収を増やせなかった穴埋めを国債でまかなってるのに、自然増として必然的に増加する社会保障費が大赤字の原因だとして、減らしてきた法人税と所得税を引き上げるのではなく、社会保障費の負担増・給付削減をさらにしようというわけです。

                    では、平成の「失われた30年」にどれだけの税収が失われたかというと。
                    例えば、これが参考になります。
                    兵庫県保険医協会の「政策解説 グラフで見る「財政危機」論のウソ・ホント」 
                    http://www.hhk.jp/senmonbu/seisaku/181105-112711.php

                    この解説記事によると、
                     <まず税収不足の実態について検証する。図3は、90年度以降の主要3税(法人税・所得税・消費税)の推移である。
                     法人税は一度も90年の水準に達することなく、2015年度までに計170兆円の税収減となっている。所得税も2015年度までに計223兆円の税収減である。増収は消費税だけで、2015年度までに計123兆円の増収である。>
                    <減税については図4にあるように、法人税率は88年の42%から2018年23.2%までほぼ半減している。さらに「研究開発減税」など、利益の一定範囲を課税対象から除外する「課税ベースの縮小」も行われている。所得税については、株式譲渡等の分離課税分の税収減が、所得税減収の要因であると、財務省は指摘している。
                     仮に、財務省が「基準年」とした90年度以降、90年度並の法人税、所得税が確保され続けていたとすれば、392兆円もの税収が確保され、同期間の社会保障関係費増230兆円を差し引いても、なお財政に162兆円の余裕があったことになる(図5)。国債発行の最大要因は社会保障関係費の増加ではなく、税収減なのである。>

                    法人税と所得税を90年度並みにしておけば400兆円近い税収増になり、30年間で社会保障関係費が230兆円増えても、160兆円余分ができたのであり、
                    プライマリーバランスもとっくに達成し、もっと社会保障や教育に予算がまわせたはずなのです。
                    あるいは、2度にわたって消費増税をして経済成長を鈍化させることはなかったでしょう。

                    以上のように、財政再建の失敗は財務省にこそありでしょう。
                    この失敗を何ら省みずに、消費増税、法人減税、社会保障負担増・給付削減の計画を「骨太の方針」に盛り込んでいるのですから、
                    こんな無責任・無反省で国を滅ぼそうとする財務省関係者に、勉強を教えてもらっているようではダメですね。


                    終末期医療の医療費は無駄なのか?

                    0

                      Okabyです。

                       

                      若手論客の古市憲寿さんと落合陽一さんの対談が物議かもしていますね。
                      リテラにまとめられています。
                      「古市憲寿と落合陽一「高齢者の終末医療をうち切れ」論で曝け出した差別性と無知! 背後に財務省の入れ知恵が」
                      https://lite-ra.com/2019/01/post-4464.html?fbclid=IwAR2Xe2xJncXaigLovVLvNFTKB8VycMCapsMO33FMLKRH-jBzEnb7PapnC9k

                      この放談ね。
                      ==============
                      古市〈財務省の友だちと、社会保障費について細かく検討したことがあるんだけど、別に高齢者の医療費を全部削る必要はないらしい。
                      お金がかかっているのは終末期医療、特に最後の一ヶ月。
                      だから、高齢者に「十年早く死んでくれ」と言うわけじゃなくて、「最後の一ヶ月間の延命治療はやめませんか?」と提案すればいい。
                      胃ろうを作ったり、ベットでただ眠ったり、その一ヶ月は必要ないんじゃないですか、と。
                      順番を追って説明すれば大したことない話のはずなんだけど、なかなか話が前に進まない〉

                      落合〈終末期医療の延命治療を保険適用外にするだけで話が終わるような気もするんですけどね。
                      たとえば、災害時のトリアージで、黒いタグをつけられると治療してもらえないでしょう。
                      それと同じようにあといくばくかで死んでしまうほど重度の段階になった人も同様に考える、治療をしてもらえない――というのはさすがに問題なので、保険の対象外にすれば解決するんじゃないか。
                      延命治療をして欲しい人は自分でお金を払えばいいし、子供世代が延命を望むなら子供世代が払えばいい。
                      こういう議論はされてきましたよね〉
                      ==============

                      芥川賞作家の磯崎憲一郎さんが朝日新聞(12月26日)の文芸時評で二人の発言を取り上げ、これをきっかけにネットでも批判の声が広がっていったそうで。
                      〈想像力の欠如〉〈想像力と、加えて身体性の欠如に絶望する〉という感性に同感です。

                      感受性のマヒ、そして人権感覚のマヒはもとより、医療経済学的にも間違いであることも指摘されています。
                      (いや、このことをまっさきに僕は公表したかったけど、年末寝込んでいたので、リテラに先にこされたわ、くやしいわ)
                      ==============
                      古市がもちだした「お金がかかっているのは終末期医療、特に最後の一ケ月」という説じたいがあやしい。
                       たとえば、日本福祉大学の二木立・前学長が死亡前医療費についての検証をおこなっているのだが、様々な論拠を示しながら「とりたてて高額でも、医療費増加の要因でもない」としている。

                      (「日本医事新報」2013年3月9日号「深層を読む・真相を解く(21)」)
                       この論文によると、健康保険組合連合会「平成23年度 高額レセプト上位の概要」にある1000万円以上の月額医療費がかかった179件のうち、その月に死亡したケースはわずか15件(8.4%)。

                      高額医療費の年齢分布も、もっとも多かったのは0〜9歳の61件で、次は10〜19歳の30件、未成年が全体の半数(50.8%)の91件を占め、60〜74歳はわずか13件(7.3%)に過ぎなかったという。
                       さらに、田近栄治・一橋大学名誉教授らによる「死亡前12か月の高齢者の医療と介護」(田近栄治、菊池潤「季刊社会保障研究」2011年12月刊行所収)という論文が、

                      死亡当月まで連続して入院していた高齢者を対象として、入院開始月・診療月別の1日当たり入院医療費の実態を調査しているが、

                      それによると、多くのケースで1日当たり医療費は入院開始月が最も高く、死亡当月にかけて1日当たり医療費が大きく上昇する傾向はほとんど見られないという。
                       当然だろう。古市は死を目前にした高齢者が高額な抗がん剤か何かをバンバン使っているような妄想でもしているのかもしれないが、そもそも高齢で体力が落ちている状態では副作用のリスクがある高価な抗がん剤はほとんど使用できない。

                      「治療」を目的とせず「緩和」「看護」が中心の終末期医療は治癒を目指す治療より金がからないというのは、素人でもわかる話だ。

                      あるいは自己負担の高額なホスピスや民間医療とでも混同しているのだろうか。
                      ==============

                       

                      しかし、リテラも指摘しているように、財務省の官僚とかは若手論客なんかにはメシでも食いながら、こういう緊縮プロパガンダをどんどん流し込んで、裏付けないフィーリングでなんとなしに騙らすようにしているのがよう分かります。

                      反貧困とかポーズとっている運動家の中にも、成長は無理だから消費増税が・・・なんて言わさそうとしていませんかね?

                       

                      さて、こういう感受性がマヒした若造を利用した財務省のプロパガンダとは別の脈絡であっても、終末期医療には医療費の無駄があるという俗論は、著名な医者の中でもいたりしますが(そういう医者に家族を診せたくないよね)、倫理性を大事にしつつまじめに検討されている方もいらっしゃいます。

                       

                      ちょうど、

                      山本太郎×藤井聡×松尾匡「本当に日本を再生できる みんなのための財政政策 Part3」(2019/1/19土@大阪)

                      http://shiminshakai.net/post/4947

                      でお話しいただく藤井聡さんです。

                      藤井さんも年末のニュースでびっくり、内閣官房参与を退職されちゃいましたけど。

                      https://lite-ra.com/2019/01/post-4467.html

                       

                      藤井さんの『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)はとても分かりやすくて賛同できる本ですけど、一つ大きな疑問があるのは、医療費抑制に言及しているところです。

                      ですので、大阪でのイベントでは質問をさせていただこうかなと、でもたくさん質問が寄せられるので、資料をつけてご回答の時間がなくても意見としてお伝えしようかなと。

                       

                      この本では、「人間の尊厳」を尊重する社会保障ー終末期医療のあり方を考える
                      (138〜143ページ)

                      という節を立てています。

                       

                      まず、藤井さんは財務省や安倍政権のように、ひたすら社会保障費の自然増を減らせという主張ではなく、

                      <言うまでもなく、(消費)増税延期を皮切りとして、財政政策を中心とした経済対策を敢行し、税収を増やすことを通して社会保障費を拡大していくことが、何よりも大切だ。仮にGDPが3〜4%程度拡大していく状況となれば、税収も少なく見積もっても2兆円程度ずつは拡大していくのであり、いとも容易く今日の社会保障費の増大を賄っていくことが可能となるからである>とし、

                      しかし、<「財政法」の理念から言っても、「社会保障」は、基本的に、赤字国債を発行することなく、「税収」の範囲で(厳密に言うなら、「不況でなければ本来得るであろう税収の水準」の範囲で)進めていくことが必要なのである>し、
                      <「医療水準」は、一定程度、抑制して行かざるを得ない可能性は存在し得るものと考えられる>ので
                      <その背景には、少子高齢化に伴って毎年毎年1兆円規模、昨今では5000億円ずつ医療費が拡大し続けている、という傾向がある>ということで、
                      <とはいえ、今後さらに少子高齢化が加速し、デフレ脱却後に期待されるこうした自然増収でもまかない切れない状況が訪れることも危惧される>というお考えです。


                      そして、<実際、こうした問題がもちあがり、国民的議論を経て「医療水準の適正化」に成功した国家>として北欧の福祉国家スウェーデンの事例を紹介し、スウェーデンでは長期間の延命治療をやめているのに対し、日本ではいまだに無理な延命治療があるという認識で、
                      「過剰なサービスの回避」のために、何が「過剰」なのかの国民的コンセンサスが不可欠とし、
                      「人間の尊厳」の議論に基づいた、真の幸福に資する「終末期医療」のあり方を徹底的に議論していくことが求められているとしています。

                      そして次に、「過剰」診療の見直しも提唱しているが(143〜147ページ)、これについては別途検討をするとして、

                      終末期医療の医療費を抑制することは財政的には、無意味であることは、先述の二木立氏が紹介している医療経済学の学識からしても明らかでしょう。

                       

                      リテラが引用した二木さんの論考はこちら

                      論文:「麻生発言」で再考-死亡前医療費は高額で医療費増加の要因か?
                      (『日本医事新報』「深層を読む・真相を解く(21)」2013年3月9日号(4637号):30-31頁)。
                      http://www.inhcc.org/jp/research/news/niki/20130401-niki-no105.html#toc1

                       

                      リテラを補足すると、<死亡前医療費は総医療費の3%>の根拠は、
                      前田由美子・福田峰「後期高齢者の死亡前入院医療費の調査・分析」「日医総研ワーキングペーパー」144号,2007)
                      http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20070711_3.pdf
                      <2005年度の高齢者(70歳以上)の医療保険医療費(入院・入院外)13.3兆円の3.4%> 約4,600億円

                       

                      たった5千億円ぐらいの終末期医療をどう削ったって、国家予算100兆円の中では雀の涙です。

                      「大砲かバターか」という古典的なことを言わせていただけるならば、

                      専守防衛を逸脱したり、国防にも役に立たない装備を米国から買っているのをやめた方がよっぽど財政にとっていい。

                       

                      さて、さらに言うと。

                      藤井さんもおっしゃるように、GDPが年数パーセント増えて経済成長を維持すれば、現状の医療制度でも財政的には何ら問題ないのです。

                       

                      二木立さんの論文:「骨太方針2018」と「社会保障の将来見通し」の複眼的検討

                      http://www.inhcc.org/jp/research/news/niki/20180801-niki-no169.html#toc1

                      でよくわかります。

                       

                      .廛薀ぅ泪蝓Ε丱薀鵐更字化の目標年を2020年度から2025年度に5年間先延ばし、2019年10月の消費税率引き上げ実施を明記した、安倍内閣の「経済財政運営と改革の基本方針2018」(「骨太方針2018」)の「将来見通し」でいえることです。

                       

                      <第1は、2040年度の社会保障給付費の対GDP比は「現状投影」でも23.8〜24.1%、「計画ベース」(現在行われている諸改革がすべて計画通りに実現すると仮定)でも23.8〜24.0%となり、2018年度の21.5%と比べて、2.3〜2.6%ポイント高くなるだけなことです。

                      この点について、6月6日の社会保障審議会医療部会で、厚生労働省の伊原和人審議官が、「[24%という水準は]とても負担できないのではないか、という意見があったが、社会保障給付費24%が対GDP比という水準は、今のドイツに近く、フランスではもっとも高い。世界に類をみない水準というわけではない」と説明したのは、大変見識があります(m3.comレポート6月6日配信。橋本佳子編集長)。>

                       

                      第2に注目したことは、2040年度の数値は上述したように、「現状投影」でも、「計画ベース」でも、ほとんど変わらないことです。

                      厳密に言えば、医療の対GDP比は、「計画ベース」では8.4〜8.7%で、「現状投影ベース」の8.6〜8.9%より0.2%ポイント低くなりますが、それでも2018年度の7.0%よりは1.4〜1.7%ポイント高くなります。

                      このことは現在の社会保障制度を維持する限り、どんな改革を行っても社会保障・医療費の対GDP比は今後も着実に増加することを意味しています。

                      この意味で、医療は「永遠の安定成長産業」と言えます。>

                       

                      もちろん、「骨太方針2018」の「将来見通し」は経済成長率が実質2%・名目3%という前提がありますので、名目3%の成長率を実現できないと見通しも狂うことでしょう。

                       

                      しかし、医療経済学では「総医療費の9割はGDPで説明できる」と言われているそうで、
                      http://www.inhcc.org/jp/research/news/niki/20181101-niki-no172.html#toc2

                      医療費増大の決定要因は確定できないようです。

                       

                      経済成長に応じて医療費が増えていくのか、医療費を増やせば経済成長に寄与しているのか因果関係はよくわかりませんが、経済成長が持続的にできるならば、医療費も増えるのあって、それは人々が受ける医療が充実することにもなります。

                      医療費が増えるのは医療に無駄があるというデータもエビデンスもない印象・感情論から、医療を充実させるために医療費を増やすことは人々にとっていいことだという「物語転換」がされるべきではないかと思います。


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