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友寄英隆『アベノミクスと日本資本主義 差し迫る「日本経済」の壁』(新日本出版社)

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    OKABYです。
     
    「アベノミクス」なるものがケインズ経済学と新古典派(新自由主義)経済学のごたまぜで一貫性がないことは、友寄英隆『アベノミクスと日本資本主義 差し迫る「日本経済」の壁』(新日本出版社)での整理は参考になります。
    また、マルクス派のアベノミクス批判を分かりやすく書いています。(妥当性はともかく)
     
    友寄さんによると、アベノミクスの<爐瓦辰燭泙辞瓩侶从兩策は、現代資本主義の経済理論の混迷状態の表れでもある>と、
    <3本の矢と隠 されていた矢>を以下の通りに整理しています。
     
    第1の矢 通貨・金融政策
     ニューケインジアン的な通貨・金融政策(インフレ目標)
    第2の矢 財政政策
     オールドケインジアン的なスペンディング政策(公共事業政策、安倍政権では軍事力拡大政策も含む)
    第3の矢 成長政策(ミクロ政策)
     「新自由主義」的な「グローバル企業成長」政策(「規制緩和」と「構造改革」)
    第4の矢 税制政策(消費税増税)
     「新自由主義」的な国民収奪政策(逆進的税制)
    第5の矢 社会保障政策
     「福祉政策」縮減による猗申蠧精栃配政策
     
    それで、「トリクルダウン・アウェー」、つまり海外へ富が流出しているとし、
    ‖膣覿箸量戮韻国内の設備投資や雇用拡大などへ回 らずに、海外投資(直接投資や証券投資など)に向かっている
    高額報酬の大企業役員や富裕者の膨大な金融資産が海外投資(投機的なファンドや海外投信など)に回っている
     
    数字として、民間が保有する海外資産残高は2012年末時点で527兆円、前年から70兆円増(15%増)だとか。
    国内の民間設備投資は微増しつつも、その水準は低迷だとしています。
     
    また、「トリクルダウン・ペイン」の7つのルートとして、
    (1)物価上昇、実質賃金低下、購買力低迷
    (2)消費税大増税、大企業大減税
    (3)生活保護、介護、医療、年金、保育など社会保障全面改悪
    (4)働くルールを改悪する「解雇特区」
    (5)原発推進掲げた「エネルギー基本計画」
    (6)TPP推進で農業と中小企業の切 り捨て
    (7)財政破綻、経常収支と家計貯蓄率の急減=日本型「三つ子の赤字」
    これらが挙げられています。
     
    そして、差し迫る「日本経済の壁」として、
    「第一の壁」 実体経済の景気後退 
       円安による物価上昇、日銀のインフレ・ターゲット政策による物価上昇、消費増税による物価上昇
       不況下の物価上昇=スタグフレーションに入り込む危険
    「第二の壁」 「ミニ・バブル」がはじけ日本発の金融パニックの危険
    「第三の壁」 日本経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)の根幹をなす経常収支、財政収支、家計貯蓄率が同時的に赤字になり、「三つ子の赤字」が恒常化する危険
           →外為市場の資金の急激な移動、円レートの乱高下、国債価格の暴落、長 期金利の急騰、株式市場での株価急落
     
    しかし、「第三の壁」なるものについては私はとても懐疑的ですが。
     
    それで、世界資本主義の現局面をどう見るかということについて、
     
    1 実体経済(現実資本)と金融経済(貨幣資本)の両面から経済活動をとらえる
    2 金融危機以後の資本主義の短期的な動態(景気循環の局面)
      現代資本主義の長期的な構造的特徴
       現代の世界経済の混迷は、1970年代以降の「新自由主義」路線のもとでの資本蓄積様式がつくりだした構造的な矛盾を背景としてる。
    3 グローバルな世界経済の矛盾の特徴と各国の国民経済に特有な矛盾の特徴
     
     そういうことで、ブルジョア経済理論の主潮流、.ールドケインジアン、▲縫紂璽吋ぅ鵐 アン、「新自由主義的新古典派」のどれも世界資本主義の構造的な矛盾を解決できないし、それらをごたまぜしたアベノミクスはなおさらダメと批判しているわけです。
     対案として、「成長戦略」に代わる「長期経済計画」の策定を提案しています。
    内容は割愛しますが、金融政策については、
    <大企業・大銀行を向いた金融政策から、国民を向いた金融政策>として、以下の通りです。
    =========================== 
     アベノミクスのもとで日銀が行っているような、従来の野放図な量的拡大ではなく、これまでの金融政策の質的転換が求められます。
    金融政策の質的な転換とは、大企業・大銀行への過剰な資金供給という資金の流れ から、国民生活を改善するとともに、中小企業・地域産業を振興し、日本の再生を支える資金供給の流れへと、根本的に変えることです。
    そのためには「量的緩和」などによって過度に日銀信用を膨張させる必要はありません。
     これまでのように、一方では大銀行への資本注入など手厚い優遇策をとり、他方では信金・信組など中小金融機関への検査強化で締め付けている金融政策は、中小企業への信用収縮を作り出し、「デフレ・不況」を加速・拡大しました。
    これからの日本経済は、これまでのように輸出依存の産業構造から、福祉・医療・住宅・環境・教育などを重視し、食料とエネルギーの自給率を引き上げる産業構造への転換が求められています。
    また、日本のすぐれた 技術・労働能力を活かした物づくりの「空洞化」にストップをかける産業政策が必要です。
    そのためにも、産業金融の流れを転換し、公的金融と民間金融とが適切なバランスをとりつつ、相互に計画的に発展するようにすることが必要です。
    ===========================
    195196ページ)
     
     とくに、クルーグマン、スティグリッツらニューケインジアンのインフレ・ターゲット論についての批判は以下の通りです。
    ===========================
     中央銀行が現在の通貨供給量を大胆に増大させ、それとともに、将来にわたって通貨供給量を大幅に増やすという約束をして、人々がその約束を信じて行動をすれば、予想インフレ率が上昇することになる。
    そして、人々が予想インフレ率の上昇を見越して経済行動をおこなうようになれば、現在の家計の消費性向や企業の投資意欲が高まり、デフレからの脱却ができる。
     しかし、現代資本主義の現実の過程では、「予想(期待)」は、商品取引や金融商品の取引にける「先物取引」として発展して います。
    そこでは、つねに「予想(期待)」が取引の前提であり、投機的投資に不可欠です。
    「異次元の金融緩和」の場合でも、もっとも敏感に反応したのは、家計の消費性向や産業資本の投資意欲などではなくて、投機的資本家たちの株式などへの投資意欲です。
    実際に、アベノミクスの「異次元の金融緩和」を、もろ手をあげて歓迎したのは、金融市場においてもっぱら短期的な証券売買で利益を稼ぐ投資家たちでした。
    つまり「期待」を論ずる場合は、だれの「期待」なのか、だれの「期待」に働きかけるのか、それが問題なのです。
     ちなみに、ケインズも『雇用、利子および貨幣の一般理論』(一九三六)のなかで、投資家の「期待」を重視し、「貨幣価値が下落するという期待は投資を刺 激し、それゆえ一般には雇用をも促進する」と述べています。
    しかし、そこでケインズが想定しているのは金利生活者や投機的資本家の「期待」ではなく、あくまで産業資本家の「期待」であり、両者を峻別している点にケインズの主眼がありました。
    ケインズは緩やかなインフレによる「貨幣の下落」を推奨しましたが、投機的投資で利益を得る金利生活者には厳しい目を向け、「金利生活者の安楽死」によって産業資本家の投資活動の活性化をめざしたのでした。
     最近の米国のニューケインジアンたちの提唱する「インフレ・ターゲット政策」は、結局は投機的な金融資本家たちを喜ばしただけであり、JM・ケインズの教えからも、かけはなれているといわざるをえません。
     
    ========= ==================
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    こうしたマルクス派からのリフレ派批判に対して、リフレ派はどう応答するのだろうか?
    マルクス派でありながらリフレ派でもある松尾匡さんの応答を紹介いたします。
     
    松尾匡氏の応答
     
     リフレ派としてお答えしますが、上の引用部分は全く正しいと思います。現代のリフレ論は、この論点を最も重視するケインズ原理主義的なところがありますので、やはり金利の低下による「金利生活者の安楽死」を志向していると思います。
    私は、だれの「期待」に働きかけるかという点で、労働者大衆に働きかけることが重要だと思いますので、労働者にとっての「インフレ期待」、すなわち、賃金の上昇予想を起こすことが重要だと思います。それは、第一義的には労働運動の役目ですけど、政策としても、最低賃金の引上げ、労働運動の法制度的バックアップ、緩和マネーを原資にした中小企業中心の賃上げ融資基金の創設などの方法が考えられると思います。
     なお、現実の「異次元緩和」は、2014年の設備投資計画がかなり増加した(たぶん消費税増税の影響で実現は抑えられるだろう)ことからも、産業資本家の「期待」に働きかける効果はあったと思います。
     それから、この人の「アベノミクスの「異次元の金融緩和」を、もろ手をあげて歓迎したのは、金融市場においてもっぱら短期的な証券売買で利益を稼ぐ投資家たちでした。」という認識は、この人の主観的な思い込みでないですかね。頑強なアンチ・リフレの論客は、金融・証券業界のアナリストとか「市場関係者」に多い印象があります。

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