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シンポジウム「大学におけるハラスメントとダイバーシティ」報告

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    みなさん、こんばんは

    6月3日に行われたシンポジウムの報告をお送りします。
    参加者数はこれまでの集いで最も多く、この間の大学をめぐる情勢の中で関心を持たれる方が増えていることを感じました。

    --以下、報告の内容です。

    シンポジウム「大学におけるハラスメントとダイバーシティ」
    日時:6月3日(日) 13:30−16:30
    場所:京都テルサ「東館3階D会議室」
    主催:大谷いづみさんの職場復帰を支援する会(このシンポは、第4回「大谷いづみさんの職場復帰を支援する集い」でもある。

    趣旨:女性や障害者や外国人などへの抑圧的、差別的態度がなかなか減らないどころか、新たに増幅されているように感じられる。欧米諸国でも新たにハラスメントの認知を求める動きがある。日本では、財務大臣や財務事務次官がハラスメントの事実を認識できないことが明らかになっている。しかし、良識の府であるはずの大学においても、似たような事態が起こっている。京都の大学で起こったそうした事例にふれながら、なぜ、このような事態が改善されないのか、いや、むしろ事態が悪化しているようにさえ見えるのかについて問うていきたい。

    約65人が参加、橋口昌治氏(団体職員・立命館大学客員研究員)の司会の下、活発な討議が行われた。以下は討議のまとめである。

    発題者
    大谷いづみ(立命館大学)「大学におけるハラスメントと被害回復・加害者更生――トラウマ/ジェンダー/障害」
     今次の事件には (1)ジェンダー・バイアスとともに、(2)事件当初から、加害者の精神的な問題のみに焦点が当たってアンタッチャブル化する一方で、被害者が両足骨折直後の身体障害者であることが浮上しなかったディスアビリティ・バイアスがある。これらは初期対応のミスだけでなく、その後の「セカンド・ハラスメント」につながっていった。大学のハラスメントにおいて、被害回復と再発予防のために、懲戒後の被害者ケアと加害者更生の実効ある制度化は、より弱い立場にある学生・院生の被害者にとっても喫緊の課題である。

    松波めぐみ(龍谷大学等)「「障害を持つ教員」と複合差別」
     私は友人らと障害のある学校教員(小中高他)に調査を行ったが、「教員=健常者」を当然の前提とする職場環境の問題が大きいと感じた。教員としての能力を疑われないよう隠れて努力せざるをえず、配慮を求めづらい。女性ゆえに一層「なめられない」よう緊張を強いられる面もある。改正障害者雇用促進法が2016年より施行され、「合理的配慮」が雇用側の義務となったが、さらに健常者男性中心の職場の慣行や個々の意識を変えていく必要があるだろう。

    立岩真也(立命館大学)「障害者差別とハラスメント」
    1)PTSDであるかないかといった議論に乗る必要はない。加害者の加害が 被害者の現状を出来せしめたのは事実としか言いようがなく、それに基づいて事態の改善を図るべきだというだけのことである。
    2)加害者について(すくなくとも加害前後について)精神疾病の診断がなされても不思議ではない。しかしそれは加害者がこの事態に対して責任がないということではまったくないし、また加害者は十分にするべきことをなすことができる状態にあったし、今もそれは変わらない。
    3)裁判所が民事事件において、加害者に対して被害者が学校に行く日に来ないように命ずるのは難しいのではないかと思う。ただ両者を雇用している大学は、それを行なうことができ、行なうべきである。判決を見れば、裁判所はそれを大学に委ねたと考えるべきである。4)裁判がいったん終わり、あとは大学になすべきことをなさせるだけである。すぐに適切な対応がなされないのであれば、近いうちに会としての申し入れ書を作成・送付、同時に記者会見という運びになるだろう。

    島薗進(上智大学)「大学の変容、力による支配の変容」
     立命館大学産業社会学部で2012年に生じたハラスメント事件は、障害をもつ被害者への大学側の配慮の欠如とあいまって2018年の現在に至るまで被害者を苦しめ続けている。二次的被害が続いてきたわけだが、そこには加害を正当化する当事者や大学側の過剰な業績主義的発想があった。また、大学が自治(ガバナンス)能力を失っているのだが、そこには短期的業績主義と過度に法的解決に頼ろうとする傾向も加わっている。

    コメント
    小原克博(同志社大学)
     事件が「セカンド・ハラスメント」を生み出さないために、また、今後、同様の事件を起こさないためには、大学における制度とカルチャーの両面を改善していく必要があるだろう。制度はその気になれば、すぐにでも作れるものであるが、障害者を包摂し、ダイバーシティを尊重するカルチャーを形成するには長期的な取り組みが必要である。

    田坂さつき(立正大学)
     本件は、大谷さん特有の問題ではなく、誰にでも起こりうる問題である。私自身、妊娠・出産・育児・親の介護と看取りを経験し、難病を発症したが、「こんなに配慮してあげているのに、不満があるのか。」という発言や視線に絶えず晒されてきた。司法はPTSD発症の因果関係を示す医学的エビデンスを退けたが、相応の症状は認めている。大学として配慮をしなければならないのは、障害学生への対応事例からすると当然である。大学としての見識が問われている。

    フロアからの質問や意見を受けての討議
     他大学や企業での例を提示しながら、主に「なぜ、このような事態に至ったのか」、「どうすれば解決へと近づいていけるのか」について活発な討議が行われた。そして、障害者の立場に立った環境整備、とりわけ意識面での理解がまだまだ不十分であること、教員の教育研究の阻害は学生にとっても大きな損害であること、大学が自浄作用を発揮できない場合、外部からの働きかけが必要であることなどが指摘された。

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