125 ミャンマー新政権下の医師たちが語った意気込み
125 ミャンマー新政権下の医師たちが語った意気込み
日経メディカル 2016年10月31日 色平哲郎
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/blog/irohira/201610/548824.html
10月半ばからミャンマーの医師、保健省の職員ら8人が、私が勤める佐久総合病院に研
修に来ている。JICA(独立行政法人国際協力機構)が2014年11月から実施している「ミ
ャンマー保健システム強化プロジェクト」の一環だ。
ミャンマーでは、長期にわたる軍事政権下で社会セクター全体への投資が行きわたらず
、保健医療の活動も停滞していた。しかし2011年の民政誕生以降の社会改革に伴い、保
健医療への国家予算も5年間で10倍近くに増額。2016年に誕生した新政権(ティン・チ
ョウ大統領、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問・外相ら)は、さらに保健改革を
推進しようとしている。
こうした状況でJICAは、保健省の行政能力強化に向けた支援をするほか、東部のカヤー
州を拠点として、地域医療ニーズに対応できるよう同州の保健行政に対する支援を行っ
ている。今回、佐久病院で研修中のメンバーも、カヤー州のロイコー総合病院の医師や
同州公衆衛生局の職員が中心だ。
風光明媚な「ミャンマーの信州」の医療事情
研修に先立ち、受け入れ準備のため、私は9月初旬にカヤー州を訪ねた。タイと国境を
接するカヤー州は、人口28万人でキリスト教徒が多い。美しい山々と豊かな水、「ミャ
ンマーの信州」とでも呼びたくなるような親近感を覚えた。
1950年代に開設されたロイコー総合病院は、他地域からの患者も受け入れる州内唯一の
総合病院だ。建物の老朽化や医療機器の陳腐化というハードの問題とともに、地域の公
衆衛生の向上といったソフトの問題が横たわっている。
診療科の中心は産科と外科。帝王切開、虫垂炎、ヘルニア……など、「なんでも外科」
といったイメージが強い。産科医の技量はかなり高く、「年間数例の卵巣癌患者のため
に抗癌剤の使い方をぜひ、佐久病院で学びたい」と研修に向けての抱負を述べてくれた
。
小児科医も研修への期待が大きかった。現時点では、残念ながらミャンマーの乳幼児死
亡率はかなり高い。「NICUでの低出生体重児への治療や、先天性の病気を持った新生児
への対応を、実際に見て、勉強して身につけたい」と女性小児科医は語る。
医師たちは「先進医療の効果を発揮させるには、社会全体の保健状態を向上させ、地域
医療を充実させなければいけない」と口をそろえて語った。そして、「地域医療を学ぶ
なら、ぜひ佐久へ」と、、、
ミャンマー人の医師には国家公務員が多く、その意味で、ミャンマーの公的医療は“国
営”医療である。軍事政権下のミャンマーでは、上意下達のウラで賄賂がはびこったと
いう。民主化によって「言論の自由」が認められるにつれ、腐敗を糾弾する声も高まっ
ている。自由を手に、経済成長の軌道に乗ったミャンマー。「希望の国」から来た医療
者たちの佐久での研修の様子は、また改めてご紹介したい。
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- 2016.10.31 Monday
- 映画評論・紹介
- 07:58
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